王子様とハナコさんと鼓星

「華子。俺は今…物凄く気が立ってるから。必死に感情を抑えているけど…華子の返答次第では何をするか分からないよ」

「……っ」

「その怪我の事、俺にバレないとでも思ってた?悪いけど、怪我をした日に風間から連絡をもらっているから。言わないでって口止めしたようだけど」


「え…」

うそ、そんな前から知っていたの?だって、電話した時とか全然いつもと変わらなくて…そんな、風間さんからきいていたなんて…

「それで、帰ってくる俺に言いにくくて友達の家に逃げたの?風邪なんて嘘だよね」

「…っ」

「あと、怪我の事を言うなって…あの元カレから電話があった事も知ってるから」


思わず、凛太朗さんを見上げた。なんで、その事まで知っているの?そのことは、桜にしか…って…まさか。

「俺が問い詰めただけだよ。華子の交友関係とか針谷に調べてもらって手を貸す友人を絞った。初めは硬くなに言わなかったけど」


「そう…ですか」


「あの男と何があったの?こんな怪我までさせられて…」

握った手を離して、また私の前髪をかきげる。


もう、隠せないか。今の凛太朗さんに誤魔化しは通用しない。

聡くんとの事はそう、6年前に遡る。
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