元社長令嬢は御曹司の家政婦
「相変わらずだな」


いつものように猫と格闘していると、秋人があきれたように私を見ていた。


「ずいぶん早いわね?まだお夕飯できてないわよ」


まだ6時にもなってないと思うし、帰ってくるにしてはずいぶん早い。帰ってくるなら帰ってくるでちゃんと言っておいてほしい。

こっちにだって時間配分ってものがあるのに、と言ってみても、私への返事もそこそこに秋人は廊下の向こうばかりを気にしている。なんなの? 


「どうぞお入りください」

「なに?誰か来てるの?」  


秋人の家なんだから、もちろん人を連れてきたって自由だけど、今まで秋人が誰かを連れてきたことなんてなかったから少しだけ驚く。  
 
一体どんな人を連れてきたの?

興味津々で廊下の方を見ていると、リビングに遠慮がちに入ってきた人は、四十代くらいの地味な女性だった。

......友達、ではないわよね?
仕事関係の人ってわけでもなさそうだし。  
どんな関係?


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