Dangerous boy
「違う違う、家にだよ。」

慌てた部長のスマートフォンに、電話が入る。

「はい。」

躊躇するなく電話に出る部長は、仕事優先の人なのだと思う。

「ちょっと待って。」

部長はスマートフォンを下げると、私の耳元に囁いた。

「仕事の電話が入ったから、少し話してくる。ここで待ってて。」

「はい。」

そう言うと部長は、お店のトイレの方に向かって、歩いて行った。


残った私は、さっきのビトウィーン・ザ・シーツと言うカクテルを、飲み始める。

「無理して飲まなくていいよ。」

いつの間にか戻ってきていた宮島さんに、少しだけ驚く。

「あまり飲めないんだろ?さっきのカクテルも、半分くらい残していたし。」

「見てたんですか?」

「お客さんがどのくらい飲めるのか、どういう系統が好きなのかは、把握しているつもり。」

あっ、だから飲み口が良くて、オレンジっぽいこのカクテルを出してくれたんだ。
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