年上のアナタと大人の恋ができたなら

駿介side

「専務どうされたんですか?ネクタイばかり眺めて」

「いや何でもない」

「?ところで先ほどの書類ですが」と話を切り変えてきた

紺野の話を聞きながらもアタマはあの日出会った彼女のことを考えていた
あれからそろそろ1週間だ、もう出来たのだろうか?
連絡先は教えてあるがまだ連絡はこない

あの日俺の前でスケッチブックを広げていた彼女
時々俺を見ながらスケッチしていたのでてっきり俺を書いているのかと思った
でもよく見ると彼女は俺のネクタイを見ていた

ネクタイとスケッチブックを交互に見ながらデッサンする彼女は
眉間にシワをよせたかと思うとにこにこしたりと表情がころころ変わる
彼女の顔を見てるだけで癒される、思わず俺は彼女に声をかけていた

最初はネクタイをデッサンしているのかと思ったが実際はブレスレッドだった
デッサンを見てたら実物が見たくなり聞いてみると自作するという
俺はどうしてもそれが欲しくなり彼女に購入したい旨を言った

しかし元々女性用でデザインしていたので男性用にアレンジするとなると
少し時間がかかるという
出来たら連絡がほしいと彼女に名刺を渡しその日は別れたが
彼女の名前も連絡先も聞き忘れていたことをあとで思い出した
ということはこっちからは連絡できない
彼女からかかってくるのを待つしかない俺としたことが

デートする時は決まって女性の方から連絡先を教えてくれていたので
自分から聞くことなんてまずなかった
それなのに彼女の連絡先を聞かなかったことに
少なからず落胆している自分がいる
どうやら既に俺は彼女に惹かれているようだ


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