副社長と秘密の溺愛オフィス
ホッとしたのもつかの間、まさか止められるとは思っていなかった明日香は顔をこわばらせ、急いで反論する。
「え? いえ、そんな彼女は十分向こうの生活に満足――」
しかし黒田が鋭い目つきで睨みつけると、明日香は驚いて言葉が続かないのか、黙りこくる。おそらく今までここまで怒った黒田を見たことがなかったに違いない。
明日香には申し訳ないが、俺はこの〝渡りに船〟な状況にとびついた。
「せっかく帰って来たんだし、そうしようかな」
俺の言葉に、明日香がビクッと肩を揺らしてこちらを見る。「なんてこと言うの!」と口をパクパクさせて非難がましい目で見てくるが、お構いなしだ。
「せっかくだし、紘也さんに部屋を見せようかな。ね?」
案内しろという意味が伝わったらしく、明日香がしぶしぶ動き出した。俺がリードするふうにみせて、明日香に部屋を案内させる。
リビングから続く部屋のひとつが、彼女の部屋らしい。彼女は扉を開き俺を部屋に押し込んだ。バタンと音を立てて閉じた扉を背に、彼女がこちらを睨む。
「いったいどういうことですかっ⁉」
「何が? あそこで頑なに帰るって言っても、向こうは納得しないだろう」
ベッドに腰かけて、部屋を見渡した。
「へぇ~、こんな感じか。やっぱり綺麗にしてるな」
会社のデスク同様きちんと整理整頓されていた。クリーム色のベッドカバーがかけられたシングルベッド。毛足の長いラグにローテーブルが置いてあった。
ふとベッドの横にあるドレッサーに目を向けると、そこには今よりもずいぶん若い明日香が家族と撮った写真が飾れていた。
「これ……ご両親か?」
「はい。ふたりが亡くなる一ヶ月前くらいだったと思います」
ドレッサーに近づいて彼女が写真立てを手に取った。
そして愛おしそうに写真を指でなぞる。いったい今、複雑な表情を浮かべる彼女がどんな気持ちで両親の写真と向き合っているのか俺にはわからない。
「え? いえ、そんな彼女は十分向こうの生活に満足――」
しかし黒田が鋭い目つきで睨みつけると、明日香は驚いて言葉が続かないのか、黙りこくる。おそらく今までここまで怒った黒田を見たことがなかったに違いない。
明日香には申し訳ないが、俺はこの〝渡りに船〟な状況にとびついた。
「せっかく帰って来たんだし、そうしようかな」
俺の言葉に、明日香がビクッと肩を揺らしてこちらを見る。「なんてこと言うの!」と口をパクパクさせて非難がましい目で見てくるが、お構いなしだ。
「せっかくだし、紘也さんに部屋を見せようかな。ね?」
案内しろという意味が伝わったらしく、明日香がしぶしぶ動き出した。俺がリードするふうにみせて、明日香に部屋を案内させる。
リビングから続く部屋のひとつが、彼女の部屋らしい。彼女は扉を開き俺を部屋に押し込んだ。バタンと音を立てて閉じた扉を背に、彼女がこちらを睨む。
「いったいどういうことですかっ⁉」
「何が? あそこで頑なに帰るって言っても、向こうは納得しないだろう」
ベッドに腰かけて、部屋を見渡した。
「へぇ~、こんな感じか。やっぱり綺麗にしてるな」
会社のデスク同様きちんと整理整頓されていた。クリーム色のベッドカバーがかけられたシングルベッド。毛足の長いラグにローテーブルが置いてあった。
ふとベッドの横にあるドレッサーに目を向けると、そこには今よりもずいぶん若い明日香が家族と撮った写真が飾れていた。
「これ……ご両親か?」
「はい。ふたりが亡くなる一ヶ月前くらいだったと思います」
ドレッサーに近づいて彼女が写真立てを手に取った。
そして愛おしそうに写真を指でなぞる。いったい今、複雑な表情を浮かべる彼女がどんな気持ちで両親の写真と向き合っているのか俺にはわからない。