副社長と秘密の溺愛オフィス
 彼の熱いキスを受けながら……わたしたちは、ひとつになった。

 そこからは……あまり記憶がない。ただ彼の情熱を一身に受けて、激しさの中に幸せを感じた。数週間、自分の心をやどしていた身体――けれど、今わたしを抱いている彼の体は、わたしの知らないことばかりだった。

 大きく温かい手は、わたしを大切に慈しみ、喜びを与えてくれる。

 逞しく広い胸は、わたしを安心させてくれる。

 そして忙しない呼吸と、情熱の籠った眼差しは、彼に余裕のないことを教えてくれ、わたしの心を震えさせた。

 今日の紘也さんは、今までわたしの知っている彼とは違った。どこか余裕のない彼を愛おしいとさえ思う。
好きです……好き。

 彼とひとつになった喜びで満たされたわたしは、自然と歓喜の涙を流した。それに気がついた紘也さんは、流れた涙をキスで拭ってくれる。
 

 こんなに幸せだなんて、思ってもみなかった。
 
 彼の背に回した手に思い切り力を込めた。どうか彼も同じ気持ちでありますように……と。
< 175 / 212 >

この作品をシェア

pagetop