副社長と秘密の溺愛オフィス
「はぁ……」
天国から地獄とはまさにこのことだな。
自分のデスクに座り大きく息を吐いた。部屋を見渡すと明日香の姿がそこかしこに思い出されて辛い。この歳になって失恋の辛さを初めて味わうなんて思ってもみなかった。
引き出しをあけて、小さな箱を取り出す。
「まさか、無駄になるとはな……」
箱の中に入っているのは、明日香に正式にプロポーズするために出張前にオーダーして、急いで作らせた指輪あった。
入れ替わっていたときのものではなく、ちゃんと明日香のために作ったものだ。
まさか、こんな形でふたりの関係が終わってしまうなんて思ってもいなかった俺は、彼女の指輪を受け取ったときの顔を想像して、喜んでいた。
なんて……間抜けなんだ。彼女の本当の気持ちもわかっていなかったなんて。
「クソっ!」
固く握りしめた拳で、デスクを思い切り叩く。ガチャンとデスクが大きな音を立てた。
どこで道を間違ったんだ。どうすればよかったんだ。
考えても答えなど出てこない。ただ明日香が俺の前からいなくなるという事実が、胸を締めつけるだけだった。
ふと足元を見ると、明日香の大切にしている母親の形見のカメオのブローチがころがっていた。モチーフである天使たちが「まだ諦めるな」といっているような気がして、それを拾いあげると俺は天を仰いだ。
天国から地獄とはまさにこのことだな。
自分のデスクに座り大きく息を吐いた。部屋を見渡すと明日香の姿がそこかしこに思い出されて辛い。この歳になって失恋の辛さを初めて味わうなんて思ってもみなかった。
引き出しをあけて、小さな箱を取り出す。
「まさか、無駄になるとはな……」
箱の中に入っているのは、明日香に正式にプロポーズするために出張前にオーダーして、急いで作らせた指輪あった。
入れ替わっていたときのものではなく、ちゃんと明日香のために作ったものだ。
まさか、こんな形でふたりの関係が終わってしまうなんて思ってもいなかった俺は、彼女の指輪を受け取ったときの顔を想像して、喜んでいた。
なんて……間抜けなんだ。彼女の本当の気持ちもわかっていなかったなんて。
「クソっ!」
固く握りしめた拳で、デスクを思い切り叩く。ガチャンとデスクが大きな音を立てた。
どこで道を間違ったんだ。どうすればよかったんだ。
考えても答えなど出てこない。ただ明日香が俺の前からいなくなるという事実が、胸を締めつけるだけだった。
ふと足元を見ると、明日香の大切にしている母親の形見のカメオのブローチがころがっていた。モチーフである天使たちが「まだ諦めるな」といっているような気がして、それを拾いあげると俺は天を仰いだ。