副社長と秘密の溺愛オフィス
応接間に通され、高そうなソファに座る。おそらく年代物の素晴らしいものだろう。和室の雰囲気とよくマッチしていて、まるで大正時代の貴族の館のようだ。
間もなくお手伝いさんが紅茶を運んできてくれたが、手をつけることもできず話し出すタイミングを計っていると、先にお母様が口を開いた。
「お話もいいけれど、先にお茶を飲みましょう。少しはリラックスできるはずよ」
さすがは甲斐建設の社長夫人。わたしの雰囲気から今日話す内容があまり喜ばしいものではないことをすでに察しているようだ。
お言葉に甘えて、カップをもちあげ紅茶をいただく。
どのように伝えたところで、お叱りを頂くことはわかっている。わたしはもうひとくち紅茶を飲み渇ききった喉を潤して、話を切り出した。
「今日は、謝罪にまいりました。紘也さんとの婚約を解消することにしました。申し訳ありません」
勢い良く頭を下げた。顔を上げるのが怖くて、そのまま俯いてお母様の言葉を待つ。
「顔を上げてちょうだい」
怒ってひどい言葉を浴びせられても仕方ないのに、お母様の声色はやさしかった。それでもわたしは恐る恐る顔をあげて、お母様の顔を見る。
「紘也からはまだなにも聞いていないの。理由を聞いてもいい?」
怒りよりも悲しみが表情に出ていて、自分のせいでこの優しい人を傷つけているのだと思うと胸が苦しくなった。
言い訳などする立場に無いこともわかっている。けれどお母様には誠実でいたかった。
間もなくお手伝いさんが紅茶を運んできてくれたが、手をつけることもできず話し出すタイミングを計っていると、先にお母様が口を開いた。
「お話もいいけれど、先にお茶を飲みましょう。少しはリラックスできるはずよ」
さすがは甲斐建設の社長夫人。わたしの雰囲気から今日話す内容があまり喜ばしいものではないことをすでに察しているようだ。
お言葉に甘えて、カップをもちあげ紅茶をいただく。
どのように伝えたところで、お叱りを頂くことはわかっている。わたしはもうひとくち紅茶を飲み渇ききった喉を潤して、話を切り出した。
「今日は、謝罪にまいりました。紘也さんとの婚約を解消することにしました。申し訳ありません」
勢い良く頭を下げた。顔を上げるのが怖くて、そのまま俯いてお母様の言葉を待つ。
「顔を上げてちょうだい」
怒ってひどい言葉を浴びせられても仕方ないのに、お母様の声色はやさしかった。それでもわたしは恐る恐る顔をあげて、お母様の顔を見る。
「紘也からはまだなにも聞いていないの。理由を聞いてもいい?」
怒りよりも悲しみが表情に出ていて、自分のせいでこの優しい人を傷つけているのだと思うと胸が苦しくなった。
言い訳などする立場に無いこともわかっている。けれどお母様には誠実でいたかった。