副社長と秘密の溺愛オフィス
「なっ……何」

「礼は前払いだ」

 びっくりしたわたしをからかう紘也さん。いまだに咄嗟にこういうことされると、恥ずかしくなってしまう。

――ピンポーン。

 インターフォンが鳴った。翼が到着したみたいだ。

「明日香、早くその赤い顔どうにかしないと、翼にイチャイチャしてたのばれるぞ? まぁ、俺は見せつけてやってもいいけど」

「もう、変なこと言わないでよっ」

 相変わらずわたしをからかって楽しそうにしている紘也さんは、わたしの文句を気にもとめず、玄関で翼を出迎えた。

「いらっしゃい」

「おじゃまします! お兄さん」

 ひとなつっこい笑顔を浮かべる翼を、紘也さんは歓迎し部屋に招き入れた。

「うわ~すげぇ!」

 ダイニングに並んだお肉を見て、翼は歓喜の声を上げた。

「ほら、立ってないで座って。全部食っていいぞ」

「ありがとうございます! お兄さん」

 わたしよりも仲がいんじゃないの? いつのまにこんなに仲良くなったんだろう。

 さっそく食事を始めると、翼の胃袋にどんどん高級肉が消えていく。
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