クールアンドドライ
 土曜日、久し振りに、姉の家を訪ねた。
連絡をすると、姉は今は2人目を妊娠中で、何時でも家に来ていいよと、言われた。
なので、昼過ぎに行くことにした。

 「へーひろくんの従兄弟が課長なんだぁ。」
「ほら、篤(アツシ)だよ。」
お邪魔したら、ひろにぃもいて、早速、私の近況報告をした。
 楽しみにしていた、甥っ子は、昼寝中だ。
 ひろにぃが、課長の名前をだすと、姉がにやけだした。
「へー、あの篤くんかぁ。なるほどね~。」
「なによ、お姉ちゃん、なんか急に気持ちワルいんだけど。」

 「教えてもいいの?」
「俺は、篤に口止めされたけど、真希が教えるんなら、問題ないだろ。」
真希とは、姉の名前だ。
夫婦で話合ったあと姉は、私にこう言った。

 「篤くんは、咲希ちゃんの憧れの王子様だよ。」

「は??なにそれ?」
「だ・か・ら~、咲希が小学一年生の時だったかしら?転んで怪我したところを、助けてもらったんでしょ?確か?それからずっと、篤くんにしつこく懐いてたから、ああ、咲希の初恋の相手は篤君なんだなぁって。
そうでしょ?」

「えええーー、嘘でしょーー!!」
「嘘じゃないわよ、お姉ちゃん、ちゃんと覚えてるから。」
「まぁ、咲希ちゃんが、認めたく無いのは、何となく分かるけどなぁ。・・・まぁ、事実だ。」
「えっ?何で認めたくないの?篤君、そこそこ格好良くなってたじゃない。」
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