クールアンドドライ
 あー、トイレいきたーい。そう意識して、目が覚めた。
・・・ここどこ?上半身を起こして周りを見た。
まだ、周りが暗くてはっきり見えないが、自分の部屋では無いことは判る。

 ああ、ヤバい!
これは、嫌な予感がする。

 恐る恐るベッドに視線を向ける。
枕のほうを見て、息をのんだ。
 ヒィッー。

 課長?いや、課長しかあり得ないだろう。
昨夜の記憶が徐々に蘇ってくる。
確か、課長とタクシーに乗ったのは覚えてる。
それで、タクシーの中で、寝落ちしたんだろう。取り敢えず、「トイレ借りまーす。」
なんとなく小声で言ってから、ベッドから降りる。
 外の月明かりか、街の明かりか判らないけど、電灯のついてない室内でも移動には困らなかった。
寝室のドアをあけると、オレンジ色の豆電球に照らされた部屋が見渡せる。
何となく、似たような間取りの部屋をしってるなぁと思いつつ、何となくここだろうなぁというドアを開ける。
正解だった。

 リビングに戻ると、煌々と明かりが点いていた。
「あっ、起こしちゃいました?」

「ああ、隣見たら居ないから。あっ、シャワー浴びるなら使って良いぞ、まぁ適当にしろ。」
そう言って、彼はトイレに向かったらしい。
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