クールアンドドライ
吉沢は、約束を守る。
意外と良い奴だ。
改めて、吉沢さんとランクアップさせようか。

 「吉沢さん、ここ誰ときたんですかぁ?」
つい、にやけて聞いてしまう。
と言うのも、やけに雰囲気の良いダイニングバーだったから。
 飯でも奢るという、口約束だったが、本当に奢ってくれるようだ。

 「小田に聞いた。だから、俺も初めて。」
「へー、小田さんお洒落な店知ってますね~。
青木さんと来たのかなぁ?」
「多分な。あいつら出来てるだろ。」
「小田さんは分かりやすいですよね。」
「青木さんも、結構、分かりやすいぞ。」
「そうですか?」

 青木さんは、何となくクールな雰囲気だ。
確か、今年三十路って言ってたっけ?
小田さんとは、6才離れてるのか。
三十路で独身、営業成績は優良、おまけにイケメン。社内でも人気の人らしい。
らしいと付け加えたのは、私が社内の噂に疎いから。
個人的には、「青木さんって、社内恋愛しない主義かと思ってた。」

 「そこそこ、当たってるよ。元カノが社内に居るんだ。だから、次は社外で見つけるって言ってたんだよなー。でも、また社内の子にしちゃったけどな。」
「へー。」
社内の噂には、興味がないが、どうやら私の観察眼は、結構良いセンいってるらしい。
ビールを飲みながら、自分の観察眼について考えていると、「元カノが誰?とか聞かねーの?」と、酔ってきたのか少し砕けた口調で、吉沢さんが聞いてきた。
「ん?別にそこは興味ないんで。」
「ええー、変わってるなお前。」
< 41 / 104 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop