クールな御曹司の蜜愛ジェラシー
「彼女、なんて?」

 切羽詰まって尋ねる私に、幹弥はおかしそうに答える。

「最初は講義の内容の質問だったけど、徐々にプライベートなことを聞かれて。普段はなにをしているんだ、恋人はいるのか、とか。連絡先も聞かれたけど、そういうのは一切教えられないって言ったら、『よかったら連絡ください』って携帯の番号を書いた紙を渡されたよ。危機感ないよな。この番号が悪いように使われるかもしれない、なんて考えもしないで」

 幹弥の言う通りかもしれないけど、あまりの言い方に、つい眉をつり上げる。その表情を見て、幹弥はわざとらしくもらった紙を指に挟んだまま手を上げた。

「冗談。そんなことしないって」

「連絡、することもないよね?」

 これ以上、私が聞くことじゃない、けれど、尋ねずにはいられなかった。幹弥はふいっと私から視線をはずす。口角は上がったままだ。

「さぁ、どうだろ。若い女子大生からの情報が必要なときもあるだろうし。人脈広げておいて損はないからな」

 ああ、彼はこういう人間だ。使えるものはなんでも使う。人だろうと、物だろうと。そこがすごいところでもあるけれど、返答に呆れるような、落胆するような。でも、ここで引き下がらず、私は黙っていられなかった。

「彼女に、森さんに気を持たせるような真似はしないで」

「なに、やきもち?」

 私は静かに首を横に振る。そして、言葉を迷った。幹弥に話してもいいものか。ただ、今は彼も外部とはいえ講師で、大学の人間だ。そう結論付けて、慎重に言葉を選びながら私は説明を始めた。
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