運命的政略結婚~白衣の悪魔に魅入られて~


サラッと恥ずかしい宣言をして、見せつけるように肩を抱いてくる藍澤先生。

気まずかった空気はどこへやら……今まで通りの態度で接してくる彼に驚きつつも、“特別”なんて人前で公言されると、くすぐったいような嬉しさがある。

しかし藍澤先生の惚気た態度がおもしろくないのか、蘭子さんが馬鹿にしたような口調で言う。


「二人してウンメーウンメーって、なんなの? そんなのあるわけないじゃん」

「二人して? ということは……」


藍澤先生の首がくるっとこちらを向き、私は咄嗟に視線を泳がせる。


「あ、いえ、そのう……売り言葉に買い言葉、と言いますか」

「とぼけないでよ。あんな偉そうにウンメー的政略結婚がどうのと熱弁してたくせにさぁ」


必死で誤魔化そうとしているのに、蘭子さんがさくっと暴露してしまう。

ちょっと蘭子さん! その話は内密にー!


「え。美琴ちゃん、ホント?」


案の定、藍澤先生の目がきらりと光って食いついてきた。


「……言った、ような、言ってない、ような」

「その反応は言ったね。そうか。美琴ちゃんも実は俺たちの結婚のこと、積極的に考えてくれてたんだね。……ありがとう」


そんな改めて“ありがとう”と言われるほどのことではないけど……無邪気に喜ぶ藍澤先生は、なんだか可愛らしい。

婚姻届を破いちゃったこと、あとでちゃんと謝らなくちゃな……。


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