運命的政略結婚~白衣の悪魔に魅入られて~
「まあ、医者と聞いて露骨な態度を取る女性が多いのは確かだよな。俺も若い頃に経験あるよ。だから自分に近づいてくるあんまり女性を信用できなくて、結局今の妻とは見合いで出会ったんだ。結果的に、大正解だった。妻は世間知らずのお嬢様だったが、俺にはそれくらいの方がホッとできてちょうどよかった」
「お見合い……」
そんな出会い方もあるのか……。しかも、話しぶりから察するに院長と奥様はとても仲睦まじそうだ。
幸せな結婚生活をうかがわせる院長の穏やかな表情をうらやましく思っていると、彼がふいにこんな提案をした。
「……そうだ、きみの結婚相手に、うちの娘なんてどうだろう」
「院長の、娘さん?」
俺は目をぱちくりさせて、ついさきほども話題に上った彼の一人娘についての情報を思い出す。
「さっきの話では確か、この春大学を卒業したとかなんとか……」
「ああ。名前は美琴というんだがね、若い頃の妻に輪をかけて世間知らずで、一度も彼氏がいたことがないんだ。妻によると、あの歳になってまだ白馬の王子様を夢見ているらしい。親としては心配な娘なんだが、女性の打算的な部分にうんざりしているキミには、ちょうどいいくらいかもしれないなと思ってね」