運命的政略結婚~白衣の悪魔に魅入られて~


そういった経緯で、俺は神鳥院長と初めて会うことになった。それが決まったのは二月のことだったが、俺も神鳥院長も互いに忙しく、実際に会えたのはさらに一か月後、三月の下旬。

場所は、彼が接待などでよく使うのだという品川の懐石料理店で、個室を予約してくれてあった。

多くの病院スタッフから悪魔と呼ばれ、目をかけてくれていた中谷院長にすら見放された俺を欲しがるなんて、一体どんな人物だろう。

神鳥院長の思惑がわからず内心おっかなびっくりだったが、話してみればとても気さくな紳士で、俺の警戒心もすぐに緩んだ。

彼は医療に対する考え方、病院の今後の展望など、固い仕事関係の話をしばらく語っていたが、飲んでいた日本酒が回ってくると、趣味や家族の話など、かなりプライベートな部分にまで話題が及んだ。


「きみは、まだ独身だったか?」

「ええ、そうです。結婚願望はなくはないんですが、女性と付き合うたびにシビアな面ばかり見せられて、恋愛自体食傷気味で……」


俺は酒は飲んでいなかったけど、神鳥院長にすっかり気を許していたので、つい愚痴をこぼしてしまった。

それを聞いた彼は、お猪口を手に赤い顔をしながらウンウンと頷く。


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