運命的政略結婚~白衣の悪魔に魅入られて~
かぁっと頬を熱くして逃げ腰になる私だけど、藍澤先生はすっかり臨戦態勢。
「俺がどれだけ我慢してると思ってるの? ……こんな大胆にキレイな脚見せてさ」
彼の言葉で視線を移動させると、何も考えずベッドにダイブしたせいで浴衣の裾がかなり上まで捲れ上がっていて、かろうじて下着が見えないくらいの状態。
私が慌てて隠すより先に、藍澤先生の手が露わになっている太腿を、つつ、となぞった。
「ひゃっ」
「似合ってるよ、浴衣。……似合ってるからこそ、もっと乱したくなる」
欲情をはらんだ妖しげな微笑でそう話し、今度は帯の結び目に手を掛ける藍澤先生。
で、出た……! よくわからない悪魔的思考! このままじゃ真帆の偏見たっぷりの妄想が、現実のものとなってしまう!
ベッドの上をずりずりと後ずさりするけれど、すぐに枕元に追い詰められ、迫ってきた薄茶色の瞳と視線が絡む。
うう、そんなに近寄られると、バクバク鳴る心臓の音が聞こえてしまいそうで困るよ……。
恥ずかしさと緊張とで、呼吸の仕方も忘れそうになったそのとき。