運命的政略結婚~白衣の悪魔に魅入られて~
ぽかんとする私に構わず、彼はあっという間に地図を畳んでポケットにしまった。そして、悪戯っぽく微笑んで白状する。
「ゴメンね、きみに声を掛ける口実が欲しかっただけなんだ」
「口実……?」
「見たところ、一人だよね? もしよければ、今日一日俺とデートしてくれないかと思って」
これってつまり……私、ナンパされてるの? どうしよう。一人旅だから特に決まった予定はないけど、初対面の相手とデートとか、警戒した方がいいよね……?
そう思いつつも、長年待ち続けていた“運命の相手”が現れたんじゃないかという可能性もまだ捨てきれず、迷ってしまう。
「ど、どうして、私と……?」
「ついさっきすれ違った時に、なんとなく……運命みたいなものを感じてね。それに従って声を掛けて、改めて間近できみを見ても、やっぱりすごく俺の好みだし」
ずいっと至近距離に顔を近づけられ、心臓がばくばく鳴った。よく見ると少し色素の薄いブラウンの瞳が何だかミステリアスで、吸い込まれてしまいそうだ。
困ったな。ナンパを成功させるために適当なことを言っているのかもしれないけど、“運命”というフレーズを使われると私は弱い。