眠らせ森の恋
「襲いかかってこないのなら問題ない、か。
 じゃあ、問題あるようにしてやろうか」

 ええーっ。勘弁してくださいーっ、とつぐみは暴れる。

「莫迦っ。落ちるだろうがっ」
と落下しかけたつぐみを奏汰が抱き直す。

 より顔が近くなり、失神しそうになった。

 いやーっ、もう、勘弁してくださいーっ。

 心臓に悪いからーっ、と心の中で叫んでいると、本当に死にそうな顔をしていたせいか、降ろしてくれた。

「先に風呂に入る。
 怪しいものの入ったワインは持ってくるなよ」
と機嫌悪く言ってくる。

 はーい、とそれを見送った。

 怪しいって、美味しかったんだろうにな……と思いながら。




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