眠らせ森の恋
今日はほんとに美味しいワイン買って来たのにな~、と思いながら、つぐみはちょっとグレて、脱衣場の洗濯機に背を預け、奏汰がいらないと言ったワインを呑んでいた。
「……待て」
と中から声がしてくる。
「なんでお前、そこでワインを呑んでる?」
「いや、昼間は悪かったかなーと思って、いいワイン買ってきたんですよ。
ちゃんと地下のカーヴで保管しといたのに、奏汰さんがいらないとおっしゃるので自分で呑んでたところです」
まだ家が新しいせいか、カーヴの手前の方にワインはなかったが、奥には高そうなワインが何本か並べてあった。
なにかのイベントでしか開けそうにない奴だ。
それで、ほどほどの値段のを買って来たのに。
「やさぐれるな……」