眠らせ森の恋
 身の危険を感じた奏汰は、一瞬、迷って、……ぱた、と寝てみた。

「えっ?
 か、……かかったっ?」

 かかるかっ、と思ったが、そのままじっとしていた。

 っていうか、催眠術って、寝かすのが目的じゃないだろ。

 このあと、なにかないのか? と思ったが、ないようだった。

 自分の上から降りたつぐみは、ソファからも降り、自分で催眠術をかけたはずなのに、困惑している。

「よ、よかった。
 ……けど、どうやって起こすんだろ?

 このまま起きなかったらどうしたら?」
と心配してくれている。

 つぐみはソファの前に、腰を下ろし、自分の顔を眺めているようだった。

「本当に寝ちゃったのかなー。
 疲れてるのかなー?」

 確かに、どっと疲れるよ、お前と居ると、と思っていると、つぐみは何処かへ行ってしまった。

 ちょっと待て。

 俺は、いつまでこうしてればいいんだ?
 つぐみが寝るまでか?
と困っていると、つぐみが、うんせうんせとなにかを運んできた。
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