眠らせ森の恋
 



「どうした? 寝不足そうだな」

 会社に行くと、つぐみは西和田にいきなりそう言われた。

「はあ、なんだかいろいろありまして」

 少し考えていた西和田は、
「秋名っ」
といきなり叱りつけるようにつぐみの名を呼んだ。

「ちょっと来い」
 その目つきに、出会った頃の西和田のようなよそよそしさと警戒心を感じて、ひっ、と思う。

 そのまま秘書室から少し離れた小会議室に連れていかれる。

 秘書室を出るとき、おっ、また、秋名が叱られるのか? とからかい半分みんなが見ているなか、英里はなんだか心配そうな顔をしていた。




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