眠らせ森の恋
 つぐみの手を引く奏汰は、
「大丈夫だ。
 今日はなにもしない。

 いや―― 昨日もほぼなにもしてない感じだけどな」
とちょっと納得いかないように呟いていた。

 まったくですよ、と思う。

 唇がわずかに触れたくらいで大騒ぎしてしまったが。

 あのあと、西和田にされたことに比べたら、奏汰のしたことなんて可愛いもんだった、と思っていた。

 もしかしたら、私が初めてキスした相手は西和田さん、ということになってしまうのだろうか。

 失敗したな、と思っていた。

 何故なのかはわからないが――。





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