眠らせ森の恋
「面白いですよ、図書館。
 一冊探してるうちに、その本の周囲とか、間違えて探したとことかで、面白いのいっぱい見つかります。

 この間、久しぶりに、眠り姫とか読んでみたんですけど。
 子どもの頃とは感じ方がまた違いますよね」
とつぐみが笑うと、英里は、

「あんなご都合主義的な話ないわ。
 寝てる間にキスしてくるのなんて、ヤバイ変態だけよ」
と切って捨てる。

 いや、まあ、そうなんですけどね……。

「だいたい、どんな素敵な人だって、断りもなく、いきなりキスしてくるなんてどう?」

 まったくですよ。
 貴方の西和田さんとか、と思っていると、

「でも、いいなあ」
と頬杖ついて聞いていた正美が言い出した。

「王子様がなんの努力もなしに向こうから来てくれたら、言うことないですよ」

 いや、どんなに素晴らしい王子様でも、いきなり結婚しよう、と言われて戸惑わないなんてことはないです。

 そう思いながら、つぐみは編み物の本に目を落とす。
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