眠らせ森の恋
 どちらかと言えば、自分が奏汰に持ってきてあげるべきだろう。

 毎日お疲れのところ、……頼んではいないが、編み物までしてくれて……

 カクテルまで作ってくれたのだから。

「私が毛布をお持ちします……」
とつぐみは呟いたが、身体が起きていなかったので。

 本人はソファから降りたつもりだったが、実際には、のそのそ這うようにして、床に落ちていっただけのようだった。

「いい。
 俺が持ってきてやるから。

 今日は此処で一緒に寝よう」

「嫌です」

「……寝ぼけてるくせに、何故、そこはハッキリ言う」

 なし崩し的にそういうことになったら嫌だからです。

 適当に始まった関係だからこそ、ちゃんとしたいんです。

 貴方に恋してもらう自信がないから。

 私のこの気持ちが恋になる前に――。

 恋に……なっているのでしょうかね?

 いや、まさか……。

 そんなことを考えているつぐみの頭の上から奏汰の声がした。
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