眠らせ森の恋
会議室までの廊下、西和田がさりげなく社長を支えて歩きながら言ってくる。
「社長はまだお若いし、前社長への反発もあって、あからさまに社長への反抗心をむき出しにしてくる重役も居る。
そういう輩やからは、白河さんの意見もあって、支社長として、他所に飛ばされてるんだが、今日は勢揃せいぞろいしているからな」
そんな話を聞きながら、白河さんって、好々爺こうこうやって感じだったけど。やっぱり、仕事のこときは違うんだな、と思った。
「業績も右肩上がりだし、問題はないんだが。
やはり、此処でビシッと社長が演説のひとつも決めないとサマにならないと思うんだが」
と西和田は奏汰を見る。
「困りましたね。
まさか、こんな肝心なときにコケられる方だとは」
つぐみの呟きに、西和田と松本に支えられながら、奏汰が、……おい、と言う。