眠らせ森の恋
まるで、嫁入りです




 日曜日。

 奏汰の家に、寿の文字が入った布が被せられた大きなトラックが何台も止まり、自分の荷物が運ばれて行くのをつぐみは呆然と見ていた。

 なんだろう。
 既に嫁入りする感じなんだが。

 大丈夫か? 私。

 ――というか、私の未来と貞操、と思いながら、つぐみは門の外に突っ立っていた。

 母、小枝子は張り切って、運送屋にいろいろ指示している。

『あんた忙しいのなら、私が決めとくわよ』
と言って、花嫁道具と言っても、今どき、揃そろえないだろうと思う鏡台から箪笥までいつの間にか買われていた。

「特注のにしたかったのに、時間がなかったから」
と小枝子は、そこだけ不満げだった。

 いや、私はすべてに置いて不満だが、と立派に梱包されて、見ることも叶わぬおのれの嫁入り道具が目の前を通過していくのを見送る。

「お母さん、結納もしてないのに」
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