過保護な御曹司とスイートライフ


「ん……っ」

咬みつくようなキスに驚いているうちに、成宮さんの舌が咥内に入ってくる。
重なり合ったそこからわずかな水音が聞こえ、背中をぞくりとした感覚が走った。

気持ちはふわふわとしていくのに、身体はダルくなるような矛盾した感覚に戸惑い、ただキスを受け入れることしかできずにいると、成宮さんが私の膝裏に腕を差し込みそのまま抱き上げた。

「ひゃ……っ」

いくら私が小柄だからって、こんな軽々と抱き抱えるなんて……。

びっくりしている私なんて気にもしないでスタスタと足を進める成宮さんは、寝室に入ると電気をつけることもせずに私をベッドの上におろし、そのまま覆いかぶさってくる。

「あっ……ん」

再び重なった唇に目を閉じると、そのうちに成宮さんの手が動き、胸のあたりをゴソゴソといじる。
服を脱がされているのがわかり……思わずその手を止めていた。

「……ん? なに?」

はぁ……と色っぽい吐息を吐く成宮さんの瞳が、暗闇の中で底光りする。

すべてを許したくなってしまうような色気を含んだ表情に、身体の真ん中がキュンと鳴くのを感じながらも口を開く。

「あ、だって……辰巳さんとのことが、まだ……」

解決していないし、と続けようとした言葉は、成宮さんの咥内に奪われる。

何度も何度も角度を変えて交わされるキスに、身体からは力が抜け落ちて、ただ荒い呼吸を繰り返すしかできなくなっていた。

まるで、溺れていくみたいだ。

押さえつけられているわけじゃないのに、放り出した手がベッドに縫い付けられたみたいに動かない。
服を脱がされたことに気付いても、もう止める気にはならなかった。



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