過保護な御曹司とスイートライフ
「アパートにいないことに気付くのは、婚約者だけだって話だったよな?」
「はい。両親は、私が家を出てから連絡を寄こしてきたことはほとんどないので、大丈夫かと」
説明しながら、家を出てから四年が経つのに数度しか連絡はきていないなと、その少なさに今さら驚く。
とはいえ、一年に何度かは辰巳さんに連れられて実家に帰るから、急ぎの用事でもなければわざわざ連絡してこないのかもしれないけれど。
……と、そこまで考えてから、あれ?と気付く。
考えてみると、家を出てからひとりで実家に戻ったことがない。いつも辰巳さんと一緒だ。
それは、実家に顔を出そうと思うって話題に出すと、辰巳さんが『じゃあ俺も一緒に行こうかな』と、忙しい仕事を調整してまで一緒にくるからだけど……。
婚約者だからって、辰巳さんが気を遣ってくれていたんだろうか、と思い目を伏せていると成宮さんが言う。
「でも、よくよく考えてみるとアパート脱出したはいいけど、捜索願みたいなの出されると困るんだよな」
「あ……そうですよね。成宮さんに迷惑が……」
「いや、それはいいんだけど、そんな大事になったらおまえも戻りにくいだろ。ちょっとした火遊びなのに、周りが騒いだら台無しだし」
私に一ヵ月の住処まで用意してくれて、その上、そんなところにまで気を配ってくれている成宮さんの横顔を、呆然と見つめてしまう。
この人、立場のある人なのにこんなに人がよくて大丈夫だろうかと心配さえ浮かんでしまうほどだった。
眺める先、自分の顎に指を添えた成宮さんが「なにか、いい口実があればなー……」とぶつぶつと呟いてから、なにか思いついたように表情を明るくしこちらを見る。
「研修ってことにするか」
「……研修?」
研修なら先週したところだけど、そんなの長くても一週間だ。そんな長い研修なんて……と思い眉を寄せると、成宮さんが説明する。