ルーンの姫君《連載》
私はその場で凍りついた。


待ち望んでいた暖かい父娘の名乗りをする為ではない。



娘として、姫として迎える為でもない。



国の捨て駒として、敵国への人質として利用する為に今まで育てられてきたのだ。




「恐れながら、陛下、いえ父上...」



私はあなたの血を継いだ娘です。


すがるように王に声をかけようとすると、王は煩わしそうに手を払うように動かした。

すると、たちまち兵士が私の両腕をつかむと乱暴に押さえつけた。

「父上、なぜ...」


結局一度も父王に名前を呼ばれることもなく、今日から嫁ぐ日まで城の塔で過ごすよう命じられ、私は王の御前から追い払われた。
< 7 / 23 >

この作品をシェア

pagetop