ロング・バケーション
そう言って嬉しそうな声を上げるとドクターはさっと私の手を握った。
お互い手袋をしていたから直接体温が伝わってきたわけでもないのに……。



(わぁ……温かい……)


包まれる様な温もりを感じる。
どうかしている…と我ながら変だと思った。



「ん?何?」


「いいえ、何でも」


手を繋いだくらいでときめいたなんて言えない。子供かって笑われてしまいそうだし。


「本殿にお参りに行きましょうか」


変なプライドを押し隠して歩きだした。
人生初の彼氏に大いに胸が騒めいていた___。



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