ロング・バケーション
「そんなにジロジロと見ないで下さい」


狭くなる肩身を寄せながら願うと、ドクターは悪びれもせずに謝り、眺めた理由を語りだした。


「ごめん、服装も職場でのイメージで考えていたんだよ。野々宮……凛さんの私服って、多分パンツルックだろうなと思ってた」


私が今日着ている服装はパンツではなくスカートだ。しかも、ロングでフワッとした感じのラインのやつ。
上のセーターもモヘアで編まれていて、袖が少し膨らんでいる。


「ヘアスタイルも仕事とは違うし、こんなに普段のイメージからかけ離れてるとは面白い」


仕事では前髪も上げてピンで留めている。点滴の注射針を刺したり、細かい作業をする時には邪魔だから。

それに後ろもサイドも結ったり捻ったりしてバラつかないようにセットしている。今みたいにそれらを全部解き、前髪同様垂らしているのが珍しいみたいで。


「やっぱりなんだかんだ言っても女子なんだよね。職場では徹底してナースをしてるってだけで」


褒められているのかディスってるのか、どうにも複雑な心境。


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