ロング・バケーション
「ん?」


振り返る彼の視線に気づいて慌て、自分も急いでベルトを締める。


「なな…何でもいいです。麺類以外なら」


そう答えると彼がオッケーと言ってエンジンを掛け始めた。自分一人で浮かれていたようで、かぁ…と頬が熱く感じた。



「凛さん」


呼ばれて振り仰いだ。
熱を帯びていた頬に柔らかいものが触れ、ドキッと心臓が跳ね上がる。



「可愛いよ。焦ってる君も」


ニコッと笑いかけられ発進した。
病院に来る前とは違い、緩やかなスタートだった___。



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