ロング・バケーション
冗談よと話す一咲は日替わりのランチを食べていて、ちらっと前を見てみると彼はカツカレーを食べていた。


「呆れた、凛ちゃんはまた麺類？」


一咲は丼の中を見て、今日はカレーうどんか～と呟く。


「センセもカレーだし気が合うね」


クスッと笑う一咲に、たまたまよ、と言い切った。
一々焦って反応する私が面白いのか、向かい側に座る彼は話を聞きながら苦笑している。


「そう言えばセンセ、凛ちゃんのことお願いしますね」


母親のように頼みだす一咲に、シー！と指を立てた。
大っぴらにしないで、と言うと、何でよぉ〜と唇を突き出す。


「注目されるの嫌だから」


「ああ、直ぐにフラれるとかウワサされちゃうしね」


ハッキリ言う一咲の口を手で覆った。
その行動を見ていたドクターが溜息を吐き、仕様がなさそうな目で私を見つめる。

こっちはその視線に気づいて肩を竦めた。
カレーを食べていたドクターは手を止め、スプーンを置いてから肘を付いた。


「どうも俺はまだ信用されてないようだな」


悲しそうな目で呟くと、それも仕様がないけど…とこぼしている。

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