ロング・バケーション
「日焼け?」


「あら、気づかなかったの?」


年明けの出勤日よりも確かに肌が焼けていたように見えたと細井さんは語る。

そう言えば、三日前よりも今日は少し肌が小麦色に近かった様な気がするな…と思い出し、何処かへ行ったのかな…と考えた。


「三連休にゴルフのコースでも回ったのかしらね」


沖縄辺りにでも行ったのかなぁ…と羨む細井さんの声に、誰と?と思わず疑った。

後でこっそり聞いてみようと思いながら仕事をして、昼食を食べに社員食堂へ行った時、麺類の入った丼を乗せたトレイを持って席を探していたら、一咲が「凛ちゃん!」と呼びながら手招きをしていた。



「一咲!」


良かった〜と思いながら近付くと、彼女の向かい側には城島ドクターの姿が見え__


(ひぇー…)


背中に冷や汗を覚えつつ会釈をして前の席に座ると、一咲が朝の細井さんのようにニヤけている。


「いやー、私、ひょっとしてお邪魔かな」


そう言って逃げ出そうとする彼女の袖を引っ張り、いいから居て、と懇願。

< 72 / 262 >

この作品をシェア

pagetop