嫌われ者の怪物と空っぽの少女

翌日。
また今度と言って別れた怪物と、夢のような時間を過ごしたマユは、朝食を作りながらはっとする。



「名前…聞き損ねた…」



また今度、と言って別れたのだ。

きっとまた会えるだろう。そう信じて朝食の準備を終えた。




街の人に、神様じゃない、と分かってもらうためにはどうしたらいいのだろうと考えた。




でも、あれだけ神様に敏感な街の人だ。自分と怪物で説得しても信じてくれないだろう。




すると、荒々しく玄関の扉が開いた。




「おい」




父だった。
いつもとは比べ物にならないくらいの機嫌の悪さだ。




「お前…神様と接触したのか……?」




「え……」





怒りの原因は思いもよらなかった。


何せバレていないと思っていたからだ。





「監視カメラに映ってたんだよ」






「そ…んな……っで、でも!神様はいい方なのよ!」





「ふざけるなっ!!自分が死にたくないだけだろう!!!」





父がマユを思いっきり叩く




何度も何度も




蹴り、殴り、物を投げ




マユの感覚が狂いそうなくらい、夜になるまで暴力を振るわれ続けた。




そんな地獄のような時間を、オースは見てしまっていた


< 19 / 27 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop