嫌われ者の怪物と空っぽの少女
「私は、神様がお怒りになってこの地に現れるなんてこと、あるわけがないと信じているんだ」
「どうして、ですか」
「神様はとても清らかな方だ。そんな自分勝手な方ではないと、私は信じている」
そう言って教会を見回した。
床がギシギシと音を立て、長椅子には年季を感じる傷がたくさんあった。
「…素敵な建物ね……」
「そうだ。お腹がすいているだろう。怪我の治療もしてあげよう。さ、こちらへおいで」
温かいココアとパンをもらい、傷の消毒などをしてもらった。
久しぶりに、人の温かさに触れた気がした。
「ありがとうございます。神父様」
「いいや。これから辛いことなんて沢山あるだろう。だが、君のその優しい心を忘れないでおくんだよ。」
「蒼い瞳の幼い君に、神の御加護がありますよう」
そう言って神父様は、教会の奥の部屋へと姿を消した。
マユは、体力が回復してきたので怪物を見つける事を再開しようと外へ出た。
ふと、教会の裏庭から、猫の唸り声が聞こえた。
駆け寄ってみると、そこには、