嫌われ者の怪物と空っぽの少女
「……見つかってしまったか」



「…っ!!」




猫が睨みつけている先に



あの、怪物がいた。




怪物とまた会えるなんて、今日は運がとてもいい。

そう思いながら少女は怪物の胸に飛び込んだ



「ふふ…"幼い蒼い瞳の少女"ですって。ふふ笑」





「……?…だって、こんなにも綺麗じゃないか」






そういって怪物は、少女のぼさぼさの髪を耳にかけ、頬に手を当てた





「きれ…い……?」



綺麗。とても素敵な響きだ。




「あぁ、とても。」




なんだか、とても温かい気持ちになった。

なんでだろう、胸と目が熱い



「えへ…怪物さん、ありがとう」




涙ぐんだその瞳と顔に、今までマユに抱いていた既視感がわかった。




きっとマユの母親であろう。


オースの初恋の相手。




だからこんなにもマユが気になっていたのか。




馬鹿馬鹿しいと自分に笑った




あの人は祀られる時、自分に少し微笑みかけ、死んでいった。




きっと自分は、あの顔を忘れられなかったんだろう。




そう考えると、肩の荷が少し降りた気がした。

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