嫌われ者の怪物と空っぽの少女
椅子の上で、しっかりそこに座って、ぼーっとしていると、さっきの警察官と、2人の男女が入ってきた
「…はじめまして。」
「…可愛い子じゃないか。はじめましてマユちゃん」
少し不満そうに手を組み、壁の方をじっとみる義母。
にこにこしながらマユに視線を送る義父。
「…はじめまして」
なんの興味もなかった。
義理の親なんて、正直どうでもよかった。
薄暗い狭い部屋の中で、沈黙が流れる
「……さぁ、もう行きなさい。荷物は車に積んであるから。」
警察官が私と椅子を繋いでいた手枷を外して、背中を押す
「……」
車の移動中は、特に会話はなかった。
車なんてものは初めて乗ったけれど、楽しいとも何も感じなかった。
ただ、ただ、無だった。
感情を忘れた少女の目から見た街は、夢に描いた綺麗なものではなく、廃れた、暗く、静かな、牢獄のように見えた。
「……妄想だった…」
あの、キラキラした自分は、なんだったんだろうか。
自分が、自分じゃない気がしていた