嫌われ者の怪物と空っぽの少女
「お前は出来損ないだ」
「(これで6万…何回目だったっけ…)」
「お前はいらない。失敗作だ。地上へ落としてやる」
「(おいおい…ここ雲より高いんだぞ…)」
「お前なんかが神様に近いところにいてはならないのだ!」
「(これもなんか聞いたことある…)」
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「……はぁ(また昔の事を…)」
ズキズキと痛む、自分の歪な頭を抑えながら、重い体を地面から離した
「(また寝てしまったのか…)」
午後6時と言ったところか、空がオレンジ色になっていた。
木の葉の隙間から温かみのある優しい光が差し込んだ。
「はぁ、地上はとてもじゃないが生きづらい…」
地上に落とされた時は、村の人全員が怪物…オースを捕らえようとしていた。
神のなり損ないの怪物、と言っても、人間よりかは優れているので、すぐに森の中に隠れこんでまけた。
しかし数日経つと、街の雰囲気がガラリと変わった。
逃げ込んだ森の前には小屋のようなものが建てられ、そこには毎日違う食物や、キラキラとしたものが置いてあった。
それを置いていく人を見かけた時は、人間が小屋の中に物を置いて、手を合わせていた。
「(神様…とかなんとかって言ってた気がする……神様…か)」
そして、小屋が建てられなにかを供えられるようになってから数年後、人が森の中で、数十人の人の目の前で処刑されるようになった。
十字架に加工された大きな木材に、
一人の人間が麻縄で縛りつけられ、
火をつけられる。
火が燃え移らないよう、周りの草木は刈り取られていた。