溺愛同棲~イケメン社長に一途に愛される毎日です~
「本当に素敵ですねぇ。今まで特注でいろいろなものを作らせてもらってきましたが、ハイヒールははじめてですよ。シンデレラの靴なら切子を入れずにつるりとしたイメージですが、こうやっていざ仕上がってみたらなかなかのものですねぇ。ではお包みいたしますね。しばらくお待ちくださいませ」

 椿はピンヒールから足を抜き、パンプスを履いて立ち上がった。スタッフが包装を始めたので、呼ばれるまで店内を見て回ることにする。どれもこれも芸術品で美しい。そして同時に高価だった。

(実物大のピンヒール・・いったいどれくらいするのかな。匠さんに値段を聞いてもきっと教えてくれないだろうし、明らかにプレゼントなのにお店の人に尋ねるのはスマートじゃないし。わたし、匠さんになにをお返ししたらいいんだろう)

 麗しい江戸切子を眺めながらぼんやり思った。

 間もなく包装が終わり精算をして店を出た。

「匠さん、ありがとうございました。すっごく驚いたし、すっごくうれしい。もしかして、これ、明後日のわたしの誕生日プレゼント? ・・ですよね?」

 真壁が得意げな笑みを向ける。

「もちろんそうだけど、別の意味もあるよ」

「別の意味?」

「プリンス・チャーミングはシンデレラを見つけて求婚した。まぁ、正確には、部下に見つけさせて、だけど。でも再会したシンデレラに求婚したよね」

「はい」

「僕も椿に同じことを伝えたい」

「――――――」

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