溺愛同棲~イケメン社長に一途に愛される毎日です~
「やっぱり・・」

「大丈夫です。どうぞ」

 こわいものの、うれしい気持ちが大きい。まるで本物のシンデレラのようだからだ。

 パンプスを脱いでそっとピンヒールに足を向ける。そして右足から挿入した。

「あ、ぴったりっ」

 左足も挿入すると、正面に立っている真壁が「似合っているよ」と言いつつスマートフォンで椿を撮り始めた。

「すごいっ。本当にぴったりです」

「よかったです。でも、立ち上がって歩かないでくださいよ?」

「もちろんです!」

「そのままちょっとお待ちください」

 スタッフはその場を離れ、大きめの鏡を持って戻ってきた。

「姿見がないのが残念ですが、こんな感じですね」

 鏡に写る自分の足元も椿は感嘆の吐息をついた。

 本当に美しかった。光を受けてカッティングされたそれぞれの場所からキラキラと輝かしい光を反射されている。そんな麗しいガラスのピンヒールを履いている姿はシンデレラそのものだった。同時に、これを注文した真壁のセンスに驚かされる。

(匠さん・・きっとゆりこおばさんからもらったガラスの靴を見て閃いたんだわ。わたしが子どもみたいに喜んでいたから・・恥ずかしいけど、すごくうれしい!)

 うっとりしているのは椿だけではない。スタッフも椿の足元を感嘆したように眺めている。

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