溺愛同棲~イケメン社長に一途に愛される毎日です~
『あきらめるわよ。仕方ないもの。でも、だから、思い出してよ、タクミのこと。私の好きな人、幸せにしてあげてよ』

「すみません」

『すみませんじゃなくて、わかりましたでしょ!』

「・・ごめんなさい。わかりました」

『絶対、思い出すのよ!』

「はい」

『約束よ!』

「約束します」

 はぁ、という大きな吐息が聞こえてくる。マリはきっと肩を大きく上下させて深呼吸をしているのだ。

『タクミのこと、好き?』

 ストレートな質問。だからこそ、逃げたらダメだ、そう思って椿はきっぱり言い切った。

「好きです」

「思い出してないのに?」

 鋭いツッコミに、椿の顔に苦笑が浮かんだ。

「そのことを言われたら辛いですけど、でも匠さんのこと、本当に好きです。マリさんには申し訳ないけど・・これだけはわたしも引けません。取られたくないっ」

 話すほどの体の奥底から熱い想いがこみ上げてくる。真壁と過ごした時間は椿にとってかけがえのないものだ。それを今さらながらに痛感させられた。

 奪われたくない。真壁の心が自分に向いている間は、一歩も譲れない。

 そんな想いが椿を突き動かす。

< 152 / 186 >

この作品をシェア

pagetop