溺愛同棲~イケメン社長に一途に愛される毎日です~
「夜はなかなかの店なんだけど、昼はかなりリーズナブルだよ。一品しかないけどね。さぁ食べて。ミスしたことはもう忘れて気持ち切り替えてくれ」

 そう言われても落ち込んだ気持ちはそう簡単に浮上しない。そうは思いつつも、手をつけないわけにもいかないので椿は箸のイカを取った。

「いただきます」

 口に入れると甘くておいしい。そのおいしさは涙を誘う。そして真壁の注意しながらもフォローして励ましてくれる優しさも。

「雪代さん?」

「・・なんでもないです。おいしいです。とっても・・」

「そう。ところで、話は変わるけど、明日は土曜日だけど出かけたりするの?」

 え? という顔をすると、真壁は微笑んで続けた。

「いや、特に意味はないけど、女性は女子会とかお稽古事とか、いろいろ忙しそうだから。僕なんて週末はゴロゴロしているからね」

「ギリギリに引っ越してきて、二週間山瀬さんに鍛えられて、なかなか家の中を整理できてないんでそれをしなきゃって思っています。それに必要なものを通販で買ったんですけど、受け取るだけ行け取って、まだあけてないのもあるんです。しばらく週末は家にこもって片付けに徹しようと思ってます」

「なるほど」

 真壁がそう言ってようやく寿司に手を伸ばした。

     ***
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