溺愛同棲~イケメン社長に一途に愛される毎日です~
「椿って面白いね」

「へっ」

「見ていて飽きないよ。その百面相」

「あっ」

 両手で口元を覆って隠した。

(恥ずかしい!)

 今度は赤面。確かに椿の表情は豊かで、さらに考えていることが顔に出てしまう。単純ではあるが、言い返せば素直なのだ。

「せっかくだから服も買おう」

「服!? いえ、服は持っているので大丈夫ですっ」

「んー、でも、せっかくだからプライベートでは僕の好みの服装でいてほしい」

 えぇっ? と言いかけて椿は言葉を飲み込んだ。改めて、今、自分が置かれている立場を思い知った。

(当たり前だけど、一緒に住むのだからプライベートってほとんどない。服もそうだけど、もしかしてぼんやりしている暇なんてないんじゃ・・それにほけ~ってしているところ見られるの恥ずかしいしっ)

 そう思うと、なんだか軽はずみに了解してしまったことは大きな間違いであるように感じる。そもそも男と二人きりの生活なのだ。大人としてすべて自己責任。なにかあっても、誰にも言っていくところはない。

 スマートでかっこよく、優しい真壁にすっかり見惚れているが、彼がどんな人間かなどわからない。もしかしたら裏の顔はとんでもないかもしれないのに。

 高価なものを与え、安心させてなにかするつもりでは――そんな不安がこみ上げてくる。

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