溺愛同棲~イケメン社長に一途に愛される毎日です~
「秘書? ですか?」

 株式会社ラクビズのオフィスはこのビルの二階。エレベーターで降り、案内されて向かったフロアでスタッフに紹介されたのち、社長室に連れていかれて言い渡された辞令がこれだった。

 しかもわざわざ秘書課を置いているのではなく、真壁だけに秘書がいて、それ以外はすべて総務部が賄っているとのこと。

 グループ会社としては世界に名を馳せる大企業だが、ラクビズ自体はマーケティングに特化した子会社なので規模は小さい。平取役員が三名いるだけで、実際の決裁権を持っている役員は真壁だけだ。

 ちなみに、その真壁の上は、ホールディングスを統括しているCEOの真壁の父である。

「そう、秘書。ずっとついてくれている山瀬さんが産休に入るんだ。その後任を務めてほしい」

「……ですが、社長、わたし、秘書の勉強はしてこなかったんですが」

「仕事はOJTで覚えるものだ。それに学校で学んだことが通用するほど社会は甘くない。無用な知識があるより、真っ新なほうがこちらはやりやすい。適任だと思っている」

 OJT……On the Job Training。実際に仕事をしながら覚えていく方法だ。

 そう言われたらなるほどと思うが、まったく知識のないことをやれと言われても戸惑ってしまう。大学在学中、いくつか資格を取ったが、秘書には意識がなくて資格試験も受けなかった。 
< 7 / 186 >

この作品をシェア

pagetop