忘れて、思い出して、知る
凪沙に連絡が入ったのは、光輝がインターフォンを鳴らしたときらしい。
電話中にその音が聞こえたそうだ。
ちなみに、三人ともアリバイははっきりしていない。
また、殺害動機が見つからない。
資料を読み終えた遥たちも犯人がわかった。
それに気付いた律は、資料を受け取り、誠に突き返す。
「さて、無能な一課に犯人を教えましょうか」
律のわざとらしい言い方に合わせて、四人が口にした犯人とは。
「双子の妹」
誰もなにも言わなかった。
いや、呆れてものが言えなかった。
「双子の妹が犯人だと? なにを根拠に」
一人の若い男性捜査員が、静寂を打ち破るように話した。
「別に説明してもいいけど……いいの?」
律はすべては言わなかった。
だが、律が言おうとすることがわかったのか、彼は黙ってなにも言わなくなった。
「……小林千明の妹を引っ張ってこい。八課の推理が正しいかは本人に聞こう」
誠が渋々指示すると、捜査員が会議室を出ていく。