忘れて、思い出して、知る
最初に千明の家を訪れたのは、永野美里。
二十一歳で、千明の大学の後輩だ。
千明とはとても仲が良かったらしく、よく千明の家に遊びに行っていたという証言が取れている。
その日も千明と遊ぶ約束をしていたらしいが、家に行くと、用事があると千明本人に言われ、帰らされたらしい。
二人目は竹中光輝、二十五歳。
千明の会社の先輩だ。
彼は千明に限らず、自分にも他人にも厳しかったため、後輩たちに嫌われていたらしい。
そんな中でも、千明との関係が一番悪かったと社員が口を揃えて言ったそうだ。
そんな仲なのに、彼が千明の家を訪れたのは、千明と仕事についての話をしようと思ったからとのこと。
だが、彼がインターフォンを鳴らしたときには反応がなかったらしい。
最後は二宮凪沙、二十三歳。
千明の親友で、第一発見者。
その日は千明から連絡が来て、家に来たらしい。
しかしインターフォンを鳴らしても反応がなかった。
ドアノブを回しても開かなかったため、事前に言われた場所から合鍵を取り、部屋に入った。
そして、遺体となった血だらけの千明を発見したらしい。