忘れて、思い出して、知る
聖が書いたせいか、だいぶ言葉が悪い。
栞は嫌気がさし、読むのをやめようと思ったが、やはり苺のことが気になり、続けて読むことにした。
寺崎苺
中途半端な正義感を持ってる。
自分が犠牲になって人が助かるなら進んで犠牲になりに行くバカ。
俺には偽善者にしか見えねえ。
ちょっと引きこもりがち。
なかなか出会うことが少ない。
意外と美人。
苺のところも変わらず悪口のように書かれていた。
だが、最後の「意外と美人」という言葉に胸が躍った。
そこを読んだあとは、パラパラとページをめくった。
そこには日記のように、寺崎家のことが書かれていた。
最後のページまで行くと栞はノートを閉じた。
ノートを持って管理室に戻ると、部屋の対角線に沙也加と聖が立っている。
「……なにしてるの」
「お前が逃げるから襲われかけただろーが!」