幸せの晴れ


殴られると思い私は咄嗟に身を縮める。


けれど、その拳は私へと振り下ろされる事はなかった。


その代わりに、


「うちの娘に何をするんだ。」


怒鳴り声ではないけど威圧する声が聞こえた。


驚き目を開けると、男の手首を掴んだスーツ姿のおじさんが立っていた。


私を助けてくれたんだ。


「ハァ?おっさん、こいつの親?嘘ついてんじゃねーよ。」


男は掴まれていた手首を振りほどき、

今にもおじさんに掴みかかっていきそうだった。


私は慌てておじさんの腕を取り


「お父さん、遅いよ。私、お腹すいちゃったじゃん。早く行こう。」


無理矢理歩きだす。
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